これは定期更新シリーズの第1回です。ゲーム会社の決算発表のたびに、数字そのものではなく「これは転職者にとって何を意味するか」を読んでいきます。
2026年8月は、多くの企業が2027年3月期(2026年度)の第1四半期決算(4〜6月期)を発表するタイミングでした。今回はこの時期に発表された、家庭用ゲームを中心とした主要企業の決算を見ていきます。
まず結論
今回の決算で最も採用体力が強そうなのは、カプコンとコナミグループです。 どちらも新作・既存タイトルの好調によって、ゲーム事業単体で大きく増益しています。逆にバンダイナムコとセガサミーは減益で、これは前年同期に大型タイトルがあったというタイトル編成の違いによる面が大きく、即座に「採用が縮む」と読むのは早計です。
今回の決算、何が起きたか
2026年度第1四半期(4〜6月期)は、家庭用ゲーム大手6社のうち4社がゲーム事業で増益しました。まず、営業利益が前年同期からどう動いたかを並べてみます。
増益側と減益側で、はっきり分かれた四半期でした。以下が内訳です。
| 企業(ゲーム事業) | 売上高 | 営業利益 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|---|
| カプコン | 546億4,800万円 | 375億9,700万円 | 増益(+87.5%) | 新作『プラグマタ』が251万本、既存タイトルのリピート販売も過去最高 |
| コナミグループ | 1,000億8,300万円 | 438億7,000万円 | 増益(+57.4%)・過去最高業績 | サッカーワールドカップ効果で『eFootball』が好調 |
| スクウェア・エニックス | 499億6,000万円 | 155億8,300万円 | 増益(+91.8%) | 『FFVII リバース』など既存タイトルが底堅く推移 |
| コーエーテクモ | 159億3,000万円 | 52億8,800万円 | 増益(+42.7%) | 新規タイトルが貢献 |
| バンダイナムコ | 909億100万円 | 150億1,100万円 | 減益(▲30.8%) | 前年同期に大型タイトルがあり、タイトル編成が異なる |
| セガサミー | 433億円 | 13億円 | 減益(▲75.0%) | 新作リリースタイミングの違い |
なお、この表の数字は各社の全社連結ではなく、ゲーム事業セグメントの数字です(コナミグループはデジタルエンタテインメント事業)。会社全体の業績とは範囲が違う点に注意してください。
数字だけ見るとバンダイナムコとセガサミーが「不調」に見えます。ただしバンダイナムコの場合、家庭用ゲームの減収は会社側の説明では「大型新作を出した前年同期とのタイトル編成の違い」によるもので、上期(4〜9月期)の業績予想は年初計画から上方修正されています(営業利益840億円→1,240億円)。ただしこの上方修正を牽引したのはトイホビー事業とみられ、ゲームを含むデジタル事業は減収減益のまま、通期予想も据え置かれています。新作『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE』(2026年10月2日発売予定)など、パイプライン自体は動いています。単月・単四半期の増減だけで「この会社は良くない」と判断するのは危険、というのがこのシリーズの前提です。
転職者にとって、何を見ればいいか
決算資料には、正直に言うと「今期、何人採用しました」という数字はほとんど出てきません。四半期の決算説明資料は投資家向けなので、人員数の増減は年次の有価証券報告書まで待たないと出てこないことが多いです。今回調べた範囲でも、6社の四半期決算資料に人員数の言及は見つかりませんでした。
そのため、このシリーズでは次のような間接的なシグナルを見ていきます。
- 新作の本数と好調度 — 新しいタイトルが立ち上がるということは、その分だけ開発・運営のポジションが生まれる可能性がある
- 既存タイトルの伸び — コナミの『eFootball』のように、既存タイトルが急に伸びると、運営体制の増強(イベント企画、CS、コミュニティ運営など)が必要になりやすい
- 上方修正・下方修正 — 通期見通しが上がっている企業は、投資(採用含む)を積極化しやすい
今回でいうと、コナミの『eFootball』の急伸が象徴的です。ワールドカップという明確な外部要因があり、この好調が続くなら、運営体制の増員が起きても不思議ではありません。実際にどうなったかは、今後のシリーズで求人動向(B)やランキング(D)と突き合わせて確認していきます。
参考:カプコンの採用の数字
決算資料には出てきませんが、カプコンは採用サイトで自社の数字を公開しています。2026年7月1日時点で、連結従業員数3,976名、単体従業員数3,593名、平均年齢38.1歳。中途採用比率の推移グラフも公開されていますが、具体的な増減トレンドの記載までは確認できませんでした。決算の好調さと、実際の採用数字がどう連動するかは、今後も追っていきたいところです。
他の定期更新シリーズとの連動
コナミの『eFootball』のように、決算で見えた好調が実際の求人・ランキングの動きにも表れているかは、B(求人動向)・D(セールスランキング)の各シリーズで突き合わせて確認していきます。
このシリーズについて
次回は2026年11月頃、第2四半期(7〜9月期)決算のタイミングで更新予定です。日本の主要ゲーム会社は3月期決算が多いため、発表は5月(本決算)・8月(Q1)・11月(Q2)・2月(Q3)に集中します。このシリーズもこの周期に合わせて年4回のペースで続けます。
まとめ
- 2026年度第1四半期は、家庭用ゲーム大手6社中4社がゲーム事業で増益
- 好調はカプコン・コナミグループ。コナミは『eFootball』のワールドカップ効果で過去最高業績
- バンダイナムコ・セガサミーの減益は前年同期とのタイトル編成の違いによる面が大きく、即座に「採用が縮む」とは読めない
- 決算資料そのものには採用人数は出てこないため、新作パイプラインや既存タイトルの伸びを間接的なシグナルとして見ていく
参考にした情報
- 家庭用ゲーム大手、第1四半期決算は6社中4社がゲーム事業増益 『プラグマタ』ヒットのカプコン大幅増益 コナミGは大型イベントとの連携光る|gamebiz
- バンダイナムコグループ 2027年3月期(2026年度)第1四半期決算説明会資料
- 数字で見るカプコン|カプコンリクルートサイト
- 決算記事まとめ(26年8月3日~7日)|gamebiz
※この記事の数字は2026年8月時点の発表内容にもとづきます。以降の決算で状況が変わる可能性があります。
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